
寝る前までスマホ見るって普通でしょ?


🔹やっと自由時間なんだから、寝るギリギリまで友たちとチャットやゲーム楽しみたい!SNSもチェックしなくちゃ…という方、または勉強や仕事に追われてパソコンを前に寝落ちしてしまう…なんて方もいらっしゃるでしょう。ありとあらゆる情報が行き交う今日、朝から晩まで気がつけばいつもスマホやパソコン…となってしまう方がむしろ自然かもしれません。

🔹しかし、このような電子機器に囲まれて暮らし始めたのは、ここ数十年のこと。TV でさえ普及し始めて50数年しか経っていません。それまで人類は有史以来何千年もさらにさかのぼれば何万年も基本的には陽が上ると起き、夜には寝る生活を続けてきました。自然界のリズムに自分たちの身体のリズムに合わせて暮らしてきたのです。

🔹ですからこの身体のリズムは簡単に変わことのないもの、というのも事実なのです。ここ数十年の生活環境の変化は類例がないほど、か つてとは違うものになったといえそうです。電気をつけて、暗くなってからも昼間のように過ごす生活はからだにとって想定外だったと言えるかもしれません。

🔹睡眠学者の中には、現代人はかつて経験したことのない、未曾有(みぞう;これまで起きたこのないような、きわめてまれなこと)の睡眠不足に陥ってい る…と表現する方もいます。自分のからだと現代生活の折り合いをどこかでつけなければいけない…というのが、現代人の命題の一つなのかもしれません。

🔹結論からいうと、寝る前ギリギリまでテレビを始め、電子機器の「ひかり」にさらされると、眠気はとんでしまい、睡眠の質は低下してしまいます。
特に部屋の明かりを消してから、画面を見ることは「ひかり」の影響が大きくなるといわれています。


🔹概日リズムのページで説明した「メラトニン」という物質は、朝起きてひかりにさらされると14〜15時間後から活発に分泌されるようになります。メラトニンが分泌されると眠くなってきます。
🔹ところがこのメラトニンは非常に繊細です。
メラトニンの分泌や光による影響には個人差がありますが、一般的には
明るい光ほどメラトニンの分泌を抑制(よくせい;おさえる)するといわれています。しかもその
抑制は急速に起こります。
メラトニンは、明るい暗い(つまり昼夜)のない環境でも、夜になるとある程度は(自律的に)分泌される仕組みにもなっているの。外の光にも反応して分泌、抑制されるし、こういうのを二重支配を受けているっていうそうよ。それだけからだは自分を眠らせようとガンバってるってことね…たぶん。



ま、まぶしい?
メラトニン同 志、オレらメットかぶってるけどね…

ブルーライトってそんなに悪いの?


🔹はい、そのようです……。
いわゆるブルーライト、短波長(たんぱちょう;1回の波の谷(山)から谷(山)まで長さがみじかいこと。その光を短波長光という。青色)の光は、特にメラトニン分泌を抑制することがわかっています。


見えない
短波長、長波長?
通常、光のことを可視光線(かしこうせん;目に見える範囲の光の波)といい、波長によって色が分類されています。波長が大きい(長い)ものが長波長で赤色、小さい(短い)ものが短波長で青色です。極端に波長が長い(短い)ものは肉眼では見えなくなります。
光は波長が短いほどエネルギーが強く、目の奥まで届き、人体に有害であるとされています。短波長の光が青色よりもさらに波長が短くなったのが紫外線(しがいせん)で、長期間あび続けると目や皮膚の障害につながることは広く知られています。
たんぱちょう ちょうはちょう
見えない



の研究
🔹例えば、ほの暗い部屋の中で、紙の本を読んだ場合と、電子書籍(電子ディバイス)で読んだ場合と睡眠に対してどのくらいの違いがあるかを比較した研究があります。結果、電子書籍を読んだ場合は、紙の本を読むのに比べて
メラトニンの分泌が減少し、入眠までの時間が長くなり、翌朝の目覚めが悪くなる
(覚醒度低下)等の状態になったそうです。
🔹この研究は、12人の健康な男女に病院の専門施設に2週間宿泊してもらい、同じ環境や条件のもとで紙に印刷された本と電子書籍を5晩連続で就寝前の約4時間読んで、それに続く睡眠の状態、眠気、血液中のメラトニン量などを比較しました。


結果(紙の本に比べ電子書籍は…)

◉紙の本の場合は、読み始めた18時くらいからメラトニン量が増えています。

◉紙に比べて、E-bookは平均して約10分 程度眠り始めが遅くなるようです。
Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness
Anne-Marie Changa, Daniel Aeschbach, Jeanne F. Duffy, and Charles A. Czeislera, 1232–1237 | PNAS | January 27, 2015 | vol. 112 | no. 4 Copyright © 2021 National Academy of Sciences.


🔹お子さんや中高生は、ひかりの刺激、特に青色ライトに対するメラトニンの抑制が成人よりも高い(影響を受けやすい)との報告もあり、注意が必要です。

寝る部屋は真っ暗にした方がいいって本当?


🔹はい、そのようです……。
例えば映画館くらいの明るさ(10ルクス程度)のライトをつけた部屋であっても、真っ暗にして寝た場合に比べ、睡眠途中で目覚めてしまう回数、ノンレム睡眠中の第一段階(浅い睡眠)やレム睡眠の時間が長いという報告もあります。

